1830年、ベルリオーズの「幻想交響曲」初演。
リストが会場にいたそうだ。後のリストのオーケストレーションの原点が、そこにあるね。 バーンスタインさんの(フランス国立管弦楽団)「幻想交響曲」を貸してもらった。
レニーの「幻想ー♪」が素晴らしい!
不思議な事に、僕が好きな「幻想」はパリ管(フランス国立管弦楽団)とボストン交響楽団に限られていて、ボストン+ミュンシュ(管理者注:シャルル・ミンシュ)ボストン+セイジ(管理者注:小澤征爾)さん、パリ管+フルネ(管理者注:ジャン・フルネ)、パリ管+ミュンシュ、そして今度のレニー+パリ管と言うことになった。
びっくりするのは、パリ管は揃わないので有名なオケなのに、レニーはほぼ完璧にそろえていて解釈はミュンシュに近い。 だから、これからは、『「幻想」 どれ聴いたら良いですか?』と訊かれたら、バーンスタインのフランス国立管弦楽団(王道)、小澤征爾のボストン(一番左)、ジャン・フルネのフランス国立管弦楽団(一番右=クレジットはパリ管かもしれない)。
僕は、数分だがパリ管で幻想をリハーサルするカラヤンとミュンシュのビデオを持っているが、ミュンシュは合わせる意識なんて無いもんね。
ハ~イ 音楽ね♪歌うー唄うー流れるーハ~イOK!合わせるのはそっちの仕事ね♪てなもんだ。
レニーはシゴイタんだろうなぁ。後にも先にも、弦の出だしが揃ってるパリ管なんて聴いた事無いもん。
良いもの聴いた。。
貸してくれた美人は、カラヤンの、鐘の扱いが気にいっているらしい(実際の教会の鐘を嵌め込んだ合成の録音)。
今はサンプリングシンセで、簡単にライブでも、音は出せる。 でも鐘が見えないないのは、僕には味気無い。
鐘についてはちょっと複雑で(良い意味で)、ドレスデンのライブで初めて生の教会の鐘をステージスクリーンで見せながら、かつ音も実際に打った演奏を聴いた。 だから、会場はバランスを取った鐘だが、外のスクリーンで観た(聴いた)人は会場とは逆に、生の鐘とスクリーンオーケストラの交ざった響きを聴いたそうだ。
コンサート前10日近く、モニターに映る指揮者に合わせて、正午と6時の鐘打つ練習した 鐘打ちは(いつもダイタイ正午で良いからね)大変だったらしい。
しかもドレスデンは古い街だから(ドレスデンフィルは世界最古の現役オケだもんね)、珍しくカソリック(宗教改革前からあるから)とプロテスタントの巨大な教会が両方ある。
その離れた教会の2つの鐘で「幻想」やったんだから、奇跡的快挙。
実は、僕はついこの間、銀座のビアホール・ライオンの巨大なタイル画(写真)を観ていて~若き友人・小早川康充の<能・田村>の名演に酔って、もう少し呑みたかったから)~不思議な感覚に捕らわれた。
このタイル画は、1945年5月24日の大空襲で外壁が焼け落ちたのに一部が残り、後にそれらも使い復元されたものだ。
ドレスデンは東京より先に(実験的に行われた)世界初の、無抵抗の一般市民に対する、無差別大空襲(虐殺)を受けた街だ。1945年2月。
これが成功したから、翌月3月10日~5月24日に東京大空襲が連続して行われて、広島長崎より多数の死者が出たのに、学校ではあまり教えない。
ドレスデンのプロテスタント教会は、第二次世界大戦で被害を受けた重要な建造物中一番最後に復旧復活した。60年近くかかり21世紀になった。
破壊された瓦礫を 出来る限り 元の部分に嵌め込む。と決めたからだ。 調査だけで何十年もかかった。
何で こんな事を知っているのか? 簡単な事です! この教会の落成式をラストシーンに据えた映画「ドレスデン・運命の日」を2007年に観たから。
大空襲の夜の恋人達、不倫中の夫婦達、様々な愛と優れた文化的生活、風習、歴史が一夜にし全壊し、60年後の教会再建の日に、生き残りの老女が孫娘(1945年の恋人役=その老女=も演じた)に手を引かれ 立ち尽くす。そうゆう映画。 DVDでも1回観たな。
銀座ライオンのタイル画を眺めていて、頭の中で「幻想交響曲」を鳴らし(55分=僕は1楽章を繰り返すからね)、ドレスデンの鐘を思いながら、エビスを2杯呑んで出た。
平和な 美しい夜だった。
藤井大史 2018-10月
